季節便り 2014年 9月 「ルートコーズ」
季節便り 2014年9月号 「ルートコーズ」
二〇一四年 九月(長月)に入り、朝夕が幾分涼しくなりました。夕方,6時過ぎになれば、虫の鳴き声も聞こえてきます。この時期の夜の月の光も気にかかる頃です。
中秋の名月、中秋とは秋の真ん中、旧暦8月15日のこと。新暦でいえば、2014年は9月8日にあたるそうです。残念ながら、この日、雨の日になり、雨雲に隠れてはっきり観ることができませんでした。
おなじみの月見団子を口に頬張りました。秋虫はとても元気よく鳴き続けています。
昼間は、まだセミの鳴き声が聞こえてきますが、夕方はスズムシ(リーン、リーン)、マツムシ(ピン・ピリリン、ピン・ピリリン)、キリギリス(ギース・チョン)の出番です。
静かに時が過ぎていく中で、沈黙し、もっと物思いにふけっても良いのではないかと思える時が来ました。
今年は、大雨による甚大な被害に見舞われた土砂災害が発生しました。あちこちで大雨警報が出て、避難される人が少なくなかったと報道されています。
8月の中ごろは、29年目になる日航ジャンボ墜落事故のご遺族の方が、御巣鷹山で追悼慰霊祭を行っている様子をテレビで見ることができました。
異常気象であったとか、冷たい空気と暖かい空気が混じり、積乱雲が発生したとか、色々大雨になったメカニズム、原因が説明されています。
日航ジャンボ機もたしか圧力隔壁のひび、ボルトの金属疲労、油圧パイプの損傷などを原因として説明されていたと記憶しています。
自然の現象、マシン・技術の問題を原因として挙げていますが、これは事実だと理解できても、どこか気にかかります。
ヒューマンファクター、組織、企業におけるマネジメント・ガバナンスに関わる原因はなかったのかについて知りたいと思うからです。
コンピュータ工学において、人はミスをするものと考え、性悪説に立って、大きな事故・不祥事件や障害の影響を小さくするために、フェールセーフ、バックアップシステム等を、設計段階から考慮しておくことが大事であると云われています。
様々な事故を経験し、これらの設計思想はどんどん進歩していると感じています。
むしろ知りたいのは、なぜ人間が正しく判断し、避難行動がとれなかったのか、人間が正しく操作・行動できなかったのは何が原因しているのか。という点です。
組織、企業におけるマネジメント・ガバナンスの問題はないのか。事故、災害からの影響を小さくするためにどんな仕掛けを用意し、機能させていたのか。
どれが主因であり、どれが副因であるかの因果関係はあるとしても相互に絡み合っているのでしょう。原因を並べて、関連性をみても、どの程度意味があるのか疑問に思えるのです。
事故の原因であるとされる自然現象や圧力隔壁のひび、ボルトの金属疲労、油圧パイプの損傷などを原因にして終わりにするのではなく、なぜ人の命が奪われてしまうなことが起こってしまったのか、またその原因を探りたくなるのです。
ある事故の原因であると同時に、時には突っ込んで分析すると、さらにその奥にある原因によってもたされた【結果】である事に気づくことがあります。
奥にある原因【ルートコーズ】まで究明しないと、根本的な対策を導き出すことができないのです。
よりよい社会を築くために、よりよいガバナンスが機能した組織にするためには、【ルートコーズ】を探求する事の大事さを私たちは学びたいと思います。
源じいさん